

講談社BOXが創刊した。略してKOBO。
講談社BOXは、箱入り本である。箱の色は銀。まさにBOXといった感じである。コンセプトは一緒でありながら、その箱に描かれるイラストにより個性が発揮されるという、コレクション性が高い物に仕上がっている。手に取ってみると、「新しいな」という感じが湧くと思う。
編集長は「ファウスト」で業界をざわざわさせた太田克史。まあ、“震撼”でも“驚愕”でもないところが、文芸界の頭の固さというか、「ファウスト」の“大声”(スタンドプレー)が災いしてるのか。少なくともざわざわはしていたはずである。
今回の新レーベル創刊は、太田克史の「俺はゴッドファザーになりたい、なるんだ!」という意気込みの表れということが言えるんじゃないかと思う。
ゴッドファザーというのは、故・宇山日出臣であり、彼が師と仰ぐ名編集者である。彼の功績は様々だが、何と言っても“新本格ムーブメント”を起こし、綾辻行人、有栖川有栖らを世に送り出したことだろう。新本格は講談社ノベルスから送り出されたわけだが、太田にもそれに相当する物が欲しかったのではないか、と思う。そこで新レーベルを立ち上がっちゃうあたり、太田がゴッドファーザーを受け継ぐ者だからというか、講談社の懐の深さというか。
とにかく、「ファウスト」での成功が今回の新レーベル創刊に繋がっていることは確かである。台湾では「ファウスト」文庫なるものがある(これから作る?)らしいから、それが日本でもできたと思えばよろしい。そう考えると、逆輸入ということか……。
宇山の新本格系作家(綾辻や有栖川ら)に対して、太田には「ファウスト」系作家がついている。もちろん、「ファウスト」系という括りがある訳じゃないけど、「ファウスト」に掲載されていた作家群が“太田とその愉快な仲間たち”であることは確かであろう。
KOBO第一弾のラインナップを見ると、清涼院流水、舞城王太郎、西尾維新とメフィスト賞出身で「ファウスト」常連の作家たちが並ぶ。
なかでも清涼院に対する太田の信頼は熱いようで、講談社BOX新人賞は“流水大賞”と名付けられている。まあ、たぶん流水大説(清涼院の書く物は、小説ではなく大説なのだ)のパロディーなんだろうけど。
とにかく、新本格系に引けを取らないラインナップは期待できそうではある。後は、流水大賞によって後進が育つか否かにかかってくる。
「ファウスト」には終わりがある、と太田は誌上で述べている。それが早くも現実の物となったのか、今は判断できない。「ファウスト」の終刊宣言は出されていないからだ。しかし、KOBOは「ファウスト」の志を受け継ぐ物であることは確かであろう。だから、一人の「ファウスト」ファンとしてKOBOの可能性を期待するばかりである。





